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華のしずく~あなた色に染められて~

第24章 【夕桜~華のしずく~】其の参~山梔子(くちなし)の夜~

「お止め下さりませ!」
「ん?」
 秀康が帰蝶を覗き込む。帰蝶は再び口づけようとする秀康から顔を背けた。
「もう―、お許し下さいませ」
「何を許すというのだ?」
 不審げな表情の秀康に、帰蝶は唇を噛んだ。
「私をご寝所に召すのは、どうかもうお止め下さいませ」
「何を申すか、それはならぬぞ」
 秀康の眼が冷たく光った。

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