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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

 考えてみれば、夫婦となってひと月、初めて互いの身の上を知った二人であった。
「そうか、てて御は亡くなったのか?」
 珠々は小さく頷いた。
「元は足軽だったと申します。母は、幼い頃は私が男なれば良かったのにと、いつも申しておりました」
 珠々の言葉に、信成は真顔になった。
「珠々、わしには夢がある」
「夢―、でございまするか」
「そうじゃ。わしに刃を向けた折、叔父上は言われた」

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