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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

―もののふと生まれて、およそ一国の主ならんと欲する者のおらざるかな。
 あの台詞を信成は忘れ得ない。信成は最も信頼し愛する妻の眼を見た。明るい光の宿るこの眼に、信成はひとめで魅かれた。そのために、心ならずも、この娘を略奪同様に連れ去り、手込めのような真似をしてまで、我が物にしてしまったけれど。
「わしも考えるようになったのだ。武将と生まれたからには、天下を望んでみようとな」

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