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いつまでも、何年経っても切なくて

第15章 離れていくその日まで

☆響side☆


俺は毎日を悶々と過ごしていた


莉子の顔を見ると離れる決意が鈍りそうで
会わないようにしていた


そう自分に言い聞かせながらも
やっぱり莉子が心配だった


莉子はバイトを楽しそうに頑張っていた
働いている姿を見たくて


自分でも何やってんだろと思ったけど
一度だけ店の外から覗きに行った





俺の部屋に兄貴が珍しく
入ってきた時があった


兄貴は辛気くさい部屋だなぁ
と言ってカーテンを開けようとした


俺はそれをやめろよ
と阻止した


兄貴は全てを悟ったんだ
いや、前から勘づいていて様子を見にきたんだろう


家にいる俺は
本当に暗かったから


「なぁ響、お前は

ちゃんと自分の本心を

莉子に伝えたのか?

お前たちはお互いに

相手の気持ちが理解できていると

思っているのか?」


世の中誤解だらけだぞ、と

兄貴は言った

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