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いつまでも、何年経っても切なくて

第15章 離れていくその日まで

『ちょっとやめてよー!』
響が私の後ろから両手で
私の両方の頬をビローンと横に伸ばしたのだ


『まともな写真撮ろうよ』


「まともな写真なんか家に腐る程あるだろ?」
もっとふざけたの撮ろうぜと響が仕切り始めた


次はこのポーズしてと言われたからやったのに


「お前、誰がそんなマヌケなポーズ本気でやるんだよ」と呆れた顔で言われた


撮り終わったプリクラに響が書いた落書きまでもがふざけていた


一枚には自分の顔の下にイケメンと書いて
私の顔の下には鈍感莉子って書いてあった


ある一枚には私に“泣き虫莉子”と書かれていて


隣で優しく私を見下ろす響には“バカ莉子”と
吹き出しが書かれていた



私は一枚だけ落書きをした
本当は大好きって書きたかったけど



ありがとうって書いた



二人で写した全てが




笑っていた

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