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いつまでも、何年経っても切なくて

第21章 信じてる

視線を自分の足元に落としたまま
響は何を考えているのか何も言わない


達ちゃんが
「面会の時間が終わってしまうので
帰ってもらえませんか」

そう言うと



「...莉子、後で
これ喰えよ」


達ちゃんには
一言も声を掛けることもせずに



響は悲しい顔で笑って
帰って行った






響が居なくなると
響がさっきまで座っていたそこに


達ちゃんは腰を下ろした



「莉子...」


私の名前を寂しそうに呼んで
私の唇にキスをした



そこから伝わってくる感情は


不安と悲しみと


愛...




達ちゃんは泣いていないのに




泣いているような顔をしていた



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