
~Ring~
第3章 ~信頼~
マサは何も言わずに
私の隣に座った
みんなはフロアで踊っていた
こちらには興味がないようだ
「胴上げ楽しかったね」
急にマサが口を開く
「あ、うん」としか言えなかった
しばらく続く沈黙
お酒だけが進んでいた
折角だったので
思い切って話しかけてみた
「そういえばこの前いきなり抱きついてごめん!あんまり覚えてないんだけど・・・」
本当は覚えている。
あの感覚とまさの顔は
今も忘れられなかった
「あぁ~あれはビビったよ(笑)後ろから急に抱きつかれるのって結構びっくりするよ?」
笑いながら話すマサ。
満面の笑み。
始めてみたマサの笑顔は
子供のように可愛かった
他の男とは何か違う
女の勘ってやつだろうか?
マサに対する見方が少し変わった
そのまま二人はクラブが
閉まるまでカウンターから
離れる事はなかった
その日からマサはよく
話しかけてくるようになった
そして私もマサといると素直に
笑うようになった
