
~Ring~
第3章 ~信頼~
その日もマサはいつものカウンター席に座っていた
ほぼ毎週くる私たちの定位置は決まっていた
「マサー!!!」
この日はいつもより気持ちが妙に素直だった
勢いで後ろから抱きついてやろう
そう企んでいた
しかし、マサからの返事は無い
いつもなら笑顔で振りむいてくれるのに
「マサ??どうした~!!」
と顔を覗き込むと顔中傷だらけだった
傷というより殴られすぎて原形が分からない、と言った方が早い
よく見ると身なりもぼろぼろだった
私は一瞬で涙がでた
誰にやられたか
なんでやられたか
こんな状況でも笑おうとしている
訳も分からない
ただの喧嘩かも知れない
だけど涙が止まらない
マサはあの日と同じ
悲しい目をしていた
