Take me
第13章 13
しばらく立ち尽くす俺に、瑛士もお兄ちゃんも声を掛けなかった。
「…大丈夫だから。」
「大丈夫じゃないから言ってるんだよ?僕は心配だから…」
「心配なんて要らないから!してくれなくて良いんだよ!!!」
「ひーくん…」
お兄ちゃんの傷付いた様な表情に、なぜか怒りが込み上げる。
俺が今までどれだけ傷付いたか知らないくせにって理不尽な怒り。
「その呼び方やめろよ!子供扱いは懲りごりなんだよ!
俺は…俺はお兄ちゃんにとっての弟でしかないことはっ…分かったから。十分そんなの分かってるから。
でも!帰らないのは…帰れないのは…
俺が!お兄ちゃんのことを好きだ、からっ…」
「僕も紘夢が好きだよ?」
そうじゃないだろ…
そうじゃないんだよ!
「貴方の好きと俺の好きは違うんだよ…っ
俺はお兄ちゃんのこと…、お兄ちゃんとして好きなんじゃない。
俺の、好きな人なのっ…舞香さんより、
きっと、ずっと好きぃ…っ」
ふとお兄ちゃんの事を見れば、俺のことを凝視している瞳
俺…俺…!
何言ってんだよ…!