Take me
第13章 13
「瑛士…寝た?」
つい色々考えて長風呂した俺
起こしてしまったら悪いと静かに寝室の扉を開けた
「紘夢、随分長かったな…
大丈夫か?」
「うん、平気」
「ん、来いよ」
布団を持ち上げて待っている瑛士の元へ。
「なんか瑛士の腕枕久しぶり」
「最近ヤってなかったもんな」
こいつ…
「…ヤる?」
俺からこんな事を言うのは初めてかも知れない
いつも何も言わなくとも、そういう雰囲気に勝手になっていたから。
「いや、今日はやめとく。
そんな気分じゃないだろ?」
「うん、全然」
腕枕している方の手で軽く叩かれた。
嘘、ヤっても良かったけど
このまましても瑛士にお兄ちゃんの面影を見てしまう。
瑛士をこれ以上傷付けることしたくない。
「瑛士、キス」
「ん、見んなよ〜」
おでこにキスをおねだり
目を閉じずに近づく口を見つめる。
だって目を瞑ったら…
「ありがと。おやすみ〜」
「おやすみ」
ちゃんと瑛士を感じてから眠りについた。
俺はこの先、一生知る事は無いだろう。
瑛士が口にした言葉
「俺の為に流せば良いのに…」
眠っている俺の目尻にキスをしたことも。