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Take me

第4章 4


「ただいま」
「母さんただいま」


奥からお母さんの足音が聞こえる
いつもなら出迎えることなんてないのに。お兄ちゃんの声が聞こえたからだ。


「千晃じゃない!どうしたの?!」
「ちょっと紘夢とね、じゃあ僕はもう帰るよ」
「お兄ちゃん、ありがと」
「いつでも来なさいね。」


扉が閉まる
途端に変わる母の声色


「紘夢、最近帰るの遅いわね。もしかして、千晃に会ってるんじゃないでしょうね?!」

「違うよ!今日だって友達の家からの帰りにたまたま会ってそれで」

「はぁ…千晃は仕事で疲れてるのよ!それなのにこんな所までわざわざ送らせて…!お兄ちゃんを気遣う気持ちはないの?!本当に昔からだめな子なんだから…」



なにそれ……



「千晃までだめにしないで頂戴!!二度と近づかないで!!」



声を遮るように自分の部屋へ駆け込んだ。



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