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寡黙男子

第2章 はじめの一歩から *学の世界*

いつもすんなり入るシュートが、最近なかなか入らない。


あ…やば…



勢いよく跳ね返ってきたバスケットボールが頭に直撃して、フラフラしながら俺は床に尻餅をついた。



「おい、学大丈夫か?最近調子悪くね?」


「……ごめん」



チームメイトで親友の達也(たつや)の手を借りながら、俺は立ち上がった。



「何かあった…?」



何か…──



────────あの…っ…好きですっ…



「………なんか、平沢さんの言葉が頭から離れない。」



未だに言葉が消化出来てないというか、もう1ヶ月も経っているのに、あれはなんだったのかが、分からずに頭をグルグルしている。



「うえっ!?平沢さんって、あの平沢さんっ?お前の後ろの席のっ!?」


「……………うん」


「まじかよっ!!えっ、恋っ!?!?」


「こい…?」



達也の言葉を聞いて、
頭の中で、たくさん鯉(こい)が元気よく泳ぎ出した。



「ちょっと先輩大丈夫ですかぁー?」



脳内日本庭園にひたっていると、後輩マネージャーの浅倉(あさくら)さんが氷を持ってきてくれた。



「…………ありがとう」

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