寡黙男子
第3章 二歩目を探る *亜紀乃の世界*
私の事を離した学は、ガシガシと頭を掻いたあと、今にも走り出そうとした。
ちょっと…っ
「待ってっ…!違うっ!」
「……すぐ戻るから」
「だっ…だからそうじゃなくてっ…」
突然、その場の空気がガラッと変わって、私は、学の腕を掴みながら、思わず笑ってしまった。
「………亜紀乃…?」
「学のことがっ…好きすぎて、苦しいのっ…!息が出来ないのっ…!」
勢いで言ってしまうってこういう事だ。けど、少し(?)天然な学にキュンキュンしちゃって、気付いたらそんな事を言っていた。
「………それって…俺…どうしたらいいの?」
困った様子の学。
そうだな……
「抱き締めて…
それで…手を繋いで一緒に帰って…」
言いたい事を言うって
難しいけど…大切なんだね…。