寡黙男子
第3章 二歩目を探る *亜紀乃の世界*
学の手が、私の肩に触れて…
そのまま、私を優しく引き寄せた。
「もっと…きつく…」
「………それで息できるようになるの?」
「……ならないかも…」
「………」
「ダメ…弱めないで…」
戸惑ってる学にまた顔が綻ぶ。
別にからかっているつもりはないけど…
真に受けちゃう学が堪らなく、好き。
「……公式戦終わるまでの2週間…
練習終わるの…待っててもいい?」
学の背中に腕を回して、私も強く、抱き締め返した。
どっちの心臓の音か分からないけど、トクントクン言っているのが聞こえる…
「……………いいの?」