片想いの行方
第2章 通称 ヒメ
「……美和。
ありえない。
いくら蓮くんにベタ惚れだからって」
次の日のお昼。
中庭のベンチに並んで座り、お弁当を広げていたアンナが、冷たい声で一言言い放った。
あたしは必死になる。
「でっでも…!
ほら、最初は名前順だったから。
席替えしたのって6月…」
「それでも、後ろの席だったってことに1ヶ月も気付かない。
それ以前に姫宮 蓮を知らない。
……あの “ ヒメ ” だよ?
どんだけボーッとしてたのよ」
う……
もう返す言葉がない……
あたしは無言のまま卵焼きを口に運んだ。