片想いの行方
第14章 夏祭り
「……………」
蓮くんはあたしからヒメに視線を移した。
「地元のやつらとも何人か会ったから、あんまり商店街の中に行くと冷やかされるぞ。
花火が始まる前にこのまま抜けて、土手に紛れ込んだ方がいいんじゃねーの」
ヒメがそう言うと、蓮くんは頷いた。
「…そうだな。 サンキュ」
ヒメと蓮くんが……普通に話してる…!
どちらも表情は硬いままだけど、傍から見たら普通の友達同士の会話に聞こえた。
でも…2人は過去に優香さんを…
! そういえば……
あたしは違和感に気付き、優香さんを見る。
彼女は、一言も発さずに、蓮くんの少し後ろに下がっていた。