片想いの行方
第15章 花火
細い道を抜け、住宅地の間にある階段を登る。
坂道が多いこのあたりには、家と家の間に小さな階段がいくつも続いていた。
迷路のように進んできたその先に、たくさんの木が生い茂った公園の入口が見える。
「…こんなところあったんだ」
「あぁ、この先に斜面があるんだけど、そこから花火が見える」
ヒメはそう答えると、またゆっくりと先に進んだ。
あたしも黙ってその後をついていく。
ブランコや滑り台がある公園を抜け、細い山道を少し歩くと
ヒメの言った通り、緩やかな斜面があり、その先から眼下に広がる川原を一望できた。
両側の土手には人がいっぱいだ。
「…すごい…ここは特等席だね…」
あたしはその景色を見ながら呟く。