片想いの行方
第16章 治らない傷
▼Side... 蓮
夏休みに入っても
俺の1週間のスケジュールは特に変わらない。
平日は部活で、日曜はスクール。
土曜は普段は休みだけど、8月最後の日曜にある試合の為に、部員全員が休み無しで追い込んでいる。
だから、今日は久しぶりにプールに入らない日だった。
「蓮、あの辺がいいんじゃない?
遮る木も無いし、良く見えそうだよ?」
左腕に絡めた手をするっと解き、優香が前を指差した。
浴衣の裾を少し持ち上げて、早足になる。
「ほら、蓮ってば。
早く早く! 急がないと場所取られちゃうよ?」
優香はくるっと振り返り、俺を見て笑った。