片想いの行方
第16章 治らない傷
「走ると危ないって。 転ぶぞ」
後ろからついていくと、優香はたまたま空いていたスペースで止まった。
「良かったー。 いい場所だよね。
花火始まるまでもう少し時間があるし、さっき買ったもの食べよっか」
今年成人式を終えたばかりの優香は、俺の3つ年上だけど
こんな風にはしゃいでいる姿を見ると、まるでそんな気がしない。
ビニールシートを広げた上で、優香は屋台で買ったものを広げている。
俺はその隣りに並んで腰掛けようとする。
と……
すぐ後ろに、中学生くらいの女の子が2人座っているのに気付いた。
「…あのさ」
俺が声をかけると、携帯をいじっていたその2人が同時に顔をあげた。