片想いの行方
第18章 彼女の正体
指定された駅前でバスを降りた。
夕方の5時になってもまだ周りは明るくて、ベタつくような暑さが残っている。
彼女の姿を探そうと周りを見渡した時、ちょうど携帯が鳴った。
『美和ちゃん、こっちよ。 目の前にいるわ』
まっすぐ前を見ると、カフェの前で優香さんが手をあげた。
あたしは深呼吸をしてから、ゆっくりと近付いていく。
白い麦わら帽子の下で、優香さんは微笑んだ。
「…来てくれて嬉しいわ。
さぁ、入りましょう」
「…………はい…」
心臓がドキドキと鳴り続ける。
あたしはギュッと手を握って、優香さんの後について行った。