片想いの行方
第18章 彼女の正体
「…頭が悪いのね、美和ちゃん」
「……!」
びっくりして顔をあげると、優香さんはため息をついた。
「私だって、悩んだんだよ?
蓮は私に彼女になれって言うし、姫宮くんはまだ私の事が好きだし。
…2人の願いを叶えてあげたいから…」
ゾクッと背中に寒気が走る。
…演技だ……
あたしは……そのトボけた様子の彼女を、単なる痛い女だとは思えなかった。
ここにきて、スッと冷静さが戻る。
あたしは優香さんを真っ直ぐ見て、静かに言った。
「……いいかげんにしてください…。
ヒメは、優香さんと “ 今 ” 恋人だとは言ってませんでした。
蓮くんも…優香さんとヒメが会ってるなんて知らないんじゃないですか…?」
自分でも、驚くほど低い声が出た。
すると……
目の前の彼女から、ふっと笑顔が消えた。