片想いの行方
第20章 彼の勇姿
席に着くと、もう試合は始まっていた。
会場はかなりの熱気で包まれている。
「時間早まってるのかもね。
この次がもう自由形の決勝らしいよ」
「そうなんですか!? …蓮くんは…」
「うん、あいつはちゃんと残ってるよ」
掲示板を見て新藤さんが言うと、あたしはドキドキと胸が鳴り出した。
この大会は、エリア内の高校から選抜された選手が出るから、かなりレベルが高いらしい。
ほとんどが3年生の中で、蓮くんだけが唯一2年生だった。
凄すぎるよ、蓮くん……
そして、いよいよ決勝の時がきた。
順番に名前が発表されて、蓮くんがコールされると。
会場から一段と大きな声援が飛んだ。
向かい側の席に、うちの高校のジャージを着た団体がいる。
その横には、女の子だけの固まりもあって、立ち上がって蓮くんの名前を叫んでいた。