片想いの行方
第22章 ゆらめき
夕焼けがさらに濃くなってきた頃
蓮くんの後ろに乗ったまま周りを見ていたあたしは、だんだんといつもの見慣れた風景になってきたことに気付いた。
「蓮くん……もしかして学校!?」
「正解」
並木道を抜けて、正面の校門を素通り。
学校の壁伝いに、細い砂利道を進む。
そのまま裏門に行くのかと思いきや、蓮くんはその手前で止まった。
「………蓮くん?」
一緒に降りて、学校のフェンス寄りに自転車を停める。
蓮くんは周りを見渡して人がいないのを確認すると、いきなりフェンスの網に足を掛けた。
「……………!? れ…蓮く……」
そして、そのまま高いフェンスにまたがると、あたしに手を差し出した。
「香月、掴まって」