片想いの行方
第22章 ゆらめき
……!?
つ、掴まってって言われても……!!
「あ、荷物はそこに置いといていいよ。
俺が上げるから。
先に香月が中に入っちゃって」
「で、でも………」
「早くしないと、不法侵入するとこ誰かに見られるぜ?」
それはマズイ!!
蓮くんの言葉に、あたしの身体は条件反射してフェンスに飛び付いた。
網につま先を乗せて、蓮くんの手に掴まる。
そして、ビクビクしながらフェンスを越えると、先に敷地内に入った蓮くんに支えられて、なんとか土の上に立つ。
蓮くんはすぐにフェンスに戻り、バッグを持つと
もう一度軽々と乗り越えて、あたしの前にジャンプで着地した。
「よし、行くか」
「……れ、蓮くん……」
呆気に取られるあたしに、蓮くんはニコッと微笑んで。
スタスタと歩き出した。