片想いの行方
第25章 動き始めた感情
▼Side... 蓮
「鈴木。 お前明日は1日休め」
金曜の夜。
部活が終わって直行したスクール。
続けて5キロ泳いだところで、プールサイドからコーチが言った。
「…?」
その言葉に驚いた俺は、ゴーグルを外してコーチを見る。
「何言ってるんですか。
試合まであと1週間なのに……」
「とにかく、明日は1日プールに入るな。
トレーニングも禁止だ。
体動かしたいなら彼女とデートでもしてろ」
…………??
いつもは鬼のように練習しろと言っているコーチが、こんな事を言うのは初めてだった。
……それに
9月になってから、自己ベストを更新していない。
……いや、むしろタイムが落ちている。
正直休んでる場合なんかじゃないんだ。
腑に落ちなくて、帰ろうとしているコーチにもう一度話そうとすると。
「蓮、もう今日はあがりな」
コーチと入れ替わる形で、新藤さんが声をかけてきた。