片想いの行方
第25章 動き始めた感情
………………………
スクールを出る時には、夜の10時を回っていた。
それでも、俺は泳ぎ足りない。
今すぐプールに戻って、夜通し練習していたいくらいだった。
「追い込み過ぎるなよ、蓮。
コーチの言う通り、明日は気分転換した方がいいよ」
駐輪場まで歩く途中で、新藤さんが優しく笑う。
だけど、俺はどうしても納得がいかない。
「新藤さん、俺今タイム上がってないんです。
このままだと勝てない。
本番の前に、調子戻しておかないと……」
「無駄だよ」
俺の言葉を遮り、新藤さんが言った。
「今の蓮じゃ、何万キロ泳いだって意味ないよ。
……全然集中できてないから」