片想いの行方
第25章 動き始めた感情
始業式で一緒に登校した時の、香月の笑顔が頭に浮かぶ。
毎日練習してるから、絶対に結果が出る。
全力で応援する。
俺の横で、まるで自分の事のように、目をキラキラさせてそう言ってくれた。
……嬉しかった。
自分の努力を、誰かに認めてもらえていたんだ。
香月のその言葉が、何よりも俺を強くしてくれる気がした。
「……一緒に頑張る奴らと、応援してくれる人達がいて。
こんなに誰かの為に勝ちたいと思うのが初めてなんだ。
だから、ごめん。
もう少しだけ、待ってて?」
俺は優香の手を握り返して、ゆっくりと言った。
…理解してほしかった。
優香は俺から目を外し、しばらくの間俯いていて。
そのままポツリと呟いた。
「……じゃあ…
私は姫宮くんのところへ
戻っても良いってことね」