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片想いの行方

第27章 ヒメの願い

遠くで野球部の掛け声が聞こえる。



屋上を通り過ぎる風が、あたしの涙をすうっと揺らした。





「…………そんな………


あたし、全然気付かなかっ……」





ヒメ………





あの花火の日に、真剣な表情で、蓮くんを好きかって、あたしに聞いたこと……




空を見上げて、切ない表情で言った、彼女への本音だと思ってたヒメの気持ち……





全部蓮くんの為だったんだ……





でも、それなら………





“ ヒメ自身 ” の、片思いは………?








「…まぁ、その計画の予想外の “ 誤算 ” には……


ヒメ自身も気付いてないだろうけどね」






「……え……?」






頭の中をぐるぐると想いが廻ってる間に、アンナが呟いた一言。





あたしがアンナを見ると、アンナは何でもないって言って、首を振った。







そして、あたしを真っ直ぐ見る。

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