片想いの行方
第29章 逢いたかった
「……香月、俺。
ヒメと仲直りしたよ」
「……………えっ…!?」
「香月のおかげだ」
蓮くんがふっと笑う。
「今日来たのはそのお礼を言いたかったからなんだけど……
……いや、そうじゃねーな」
その言葉に頭の思考が追いつかないまま
蓮くんはあたしを見て続けた。
「……無性に、香月に逢いたかった」
「……………っ!!」
「逢いたくて、ここに来たんだ。
もう一度泳ぐ前に、香月の顔が見れて、今スゲー元気でた。
……サンキュ」
蓮くんは最後にもう一度、極上の笑顔になると
フリーズしたあたしを置いて、そのまま去っていった。
「………………」
い、生きてる?あたし………
昨日までの高熱がまた、ぶり返してきそう…
蓮くんの姿が見えなくなっても、あたしはしばらくその場から動けなかった。