片想いの行方
第30章 1番好きな人
次の日の金曜日。
1日の授業が終わった。
蓮くんが部活に行く為に、教室を出る姿を確認すると
あたしは意を決して後ろに振り返った。
「……ヒ、ヒメ……!」
カバンに教科書を入れて立ち上がろうとしていたヒメが、顔を上げる。
「あの……ちょっといい?
話したいことがあるんだけ…」
「ダメ。俺超忙しいから」
あたしの言葉を遮って、ヒメはしれっとして答えた。
「そ、そんなに時間とらせないもん…!」
「服買いに行きてーし、西高のやつらからも誘われてたし。
あ、漫画も買ってねーや。
やっぱねみーし帰ろうかな」
…………
それは間違いなくヒマってことじゃん!!
「いいから来て!」
あたしは出口に向かって歩き出したヒメを、強引に引っ張った。