片想いの行方
第30章 1番好きな人
「………………っ」
ヒメの腕が、あたしをすっぽりと包みこむ。
「…ヒ、ヒメ…… やだ………」
ドキドキする心臓がうるさくて、あたしは体をヒメから離そうとジタバタする。
だけど、もっと強い力で抱きしめられて、全く身動きが取れない。
なんで………?
ヒメの表情が見えなくて、どうしたらいいかわからない。
「……美和。
…俺の役目はここで終わりだ」
「…………!」
あたしの耳元で、ヒメが囁いた。
「…お前なら大丈夫だ。
蓮はお前を絶対に受け止める。
蓮は、スッゲーいい男だから。
美和は、絶対幸せになれるよ」