片想いの行方
第31章 片方のピアス
「……心ここにあらずって感じね」
優香は再び体の位置を戻して、前を向く。
そして、静かに話し始めた。
「……私、美しいものが好きなの。
キラキラ光って、綺麗で、お洒落で、魅力的で。
それを自分の身に付けて、誰かに褒めてもらうのは、もっと好き」
「……………」
優香は空を眺めながら、うっとりとした表情で続ける。
「蓮とあなたは……
そんな私の願いにぴったりな、最高のアクセサリーだったの。
麗子の家に行って、弟のあなたを紹介された時。
ずっと探してた宝物を、やっと見つけた気分だったわ。
あなたと一緒に街を歩いて、周りから尊敬と羨みの目で見られるのが、とっても快感だった」
「……ははっ、飾りかよ俺は。
サイテーだな」
「そうね、なんとでも言えばいいわ」
優香は何の悪びれもなく、しれっとした顔をしていた。