片想いの行方
第35章 いつかのお返し
蓮くんが優しい表情であたしを見るから
心が苦しくて、目に涙が溢れてくる。
「蓮くん……!
お願い、そんなこと言わないで。
あたし、明日蓮くんと一緒にクリスマスを過ごしたいの。
だから……」
すると
震える手を強く引かれて
ぎゅっと抱きしめられた。
「…………っ」
あたしの体が、蓮くんの温かい腕に包まれる。
「……美和。
俺、ずっと不安だった。
お前はいつか、ヒメの元に行ってしまうんじゃないかって。
美和を失うのが、怖かったんだ。
お前は必死に俺に笑いかけてくれたけど
その笑顔の裏で、もうひとつの捨てきれない想いがあるって、分かってたんだよ。
………本当はもっと早く、お前の手を離してやるべきだった。
俺のワガママで、今日この日までずっと言えなくて……
美和の想いを心に閉じ込めさせて
………本当に、ごめんな」