片想いの行方
第43章 突然の…
泣き腫らした目がバレないように、急いで化粧を直していると
休憩時間が終わるギリギリだったことに気付き、慌てて席に戻る。
途中、頭痛がしたけど気付かないふりをして、午後も集中して仕事をこなしていった。
「美和ちゃん、帰れそう?」
夜8時。
先に帰り支度を始めた奈々さんに声をかけられた。
「はい、これだけメールしたら上がります」
「よかった。 じゃあ私先に帰るね」
奈々さんがフロアを出ていくのを見送った後、印刷した紙をコピー機に取りにいくと
奈々さんのデスクの横に、傘がかけたままなのに気付いた。
「あ……もう降り始めてる……」
外に目をやると、大粒の雨があたって窓ガラスが白く曇っている。
…まだエントランスまで降りてないかも。
私はその傘を持つと、奈々さんの後を追ってエレベーターに向かって歩き出した。