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「………蓮くん………」




その文字を、指で追って何度も読み返す。



蓮くん、今はカナダに行ってるんだ……



遠い空の下で、この写真を撮っている彼の姿を思い浮かべた。











………蓮くんは






大学を卒業後、総合商社に入社した。




それから間もなくして世界中を飛び回り、第一線で貿易関係の仕事をしている。



１年のうちに日本に戻るのは数回しかないみたい。





ヒメと同じく、就職してからは一度も蓮くんに逢っていないけど




数か月に一度、こうして今いる国の写真を撮って送ってくれる。





……不定期に届くそのメールを、私はいつも心待ちにしていて




蓮くんが撮った写真をひとつのフォルダに入れて、何度もこうして眺めたりしていた。







まるで大事な宝箱に入れるように







私は今回の写真もフォルダに移し、保存した。