片想いの行方
第44章 『元気だよ』
メールの画面に戻って、返信ボタンを押す。
その空白に、私はゆっくりと文字を打ち込んでいく。
『蓮くん、素敵な写真をありがとう。
今日は雨が降って、今も空はどんよりと曇っているから
こんなにキレイな星空を見れて、すごく嬉しいです』
少し重くなってきた瞼をこすって、手を動かす。
『………蓮くん。
今日、ヒメに逢ったよ』
「……………………」
一度、そうメールに打ち込んだけど
少し考えてから、その文字を消した。
蓮くんとヒメは、大学に入ってからも仲良しだったって、いつだったか新藤さんから聞いたのを思い出す。
社会人になってから、2人の間がどうなっているかは分からないけど。
私が今さらヒメのことを蓮くんに告げても、意味がないように思えた。