片想いの行方
第45章 あの頃とは違う
「………美和………?」
「………っ
高校の時とは、違うんだよ……」
ズキズキと痛む頭と心。
だけど、振り返らない。
「ただ恋をしてるだけで幸せだった、あの頃の私じゃないの。
そんなバカみたいな想いだけじゃ、この現実を生きていけない。
………もし、ヒメが今でも真っ直ぐな心を持っているなら。
もう、私とは関わらない方がいいよ」
……夜の9時が近付いてくる。
あの人の目の色が変わる前に行かないと
また眠れなくなってしまう。
「……昨日は、助けてくれてありがとう。
私は元気だよ。
大丈夫。
………だからもう、話しかけないで……」
ヒメの目を見たら、閉じ込めていた想いが溢れてしまうから
私は言い捨てるようにして、その場から走り去った。