テキストサイズ

片想いの行方

第46章 朝の7時と、夜の9時



………………………………………………





ガラス張りのエレベーターを降りながら、光り輝く夜景を見つめる。





「……私、ほんとバカだなぁ……」






一条さんの食事を作り続けて、もう2年になるのに



彼が卵を嫌いな事、すっかり頭から抜け落ちていた。



昨日倒れて遅刻してしまったことで、気が動転してたから。





「…………………」






アンナと一緒に、中庭でお弁当を食べていたのを思い出す。



私のお母さんが作る卵焼きは、いつもふわふわで美味しくて。



アンナが必ずつまみ食いをするから、いつも多めに作ってもらってた。





だから、私も







お母さんからその作り方を教えてもらって







いつか、誰かが






美味しいよって







言ってくれる未来があると………









信じていたんだ。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ