片想いの行方
第46章 朝の7時と、夜の9時
「…………………っ」
……この人は…………
どうして、私の心を分かってくれるの………?
なんにも知らないのに
どうして、私が今1番言って欲しかった言葉を、言ってくれるの………?
「…つーか、お前なんか大荷物だな。
全速力でスーパーに寄って、ソッコー出てきたと思ったら。
……これ、なんで今もそのまま持ってんの」
ヒメは呆れたように、私が持ってる食材の入ったビニール袋を見つめた。
………私は立ち尽くしたまま、口を開く。
「……ヒメ………
会社からここまで……追いかけてきてくれたの………?」
ヒメは荷物から私に目線を戻すと
ふっと笑った。
「昨日に引き続き、今日も置いてきぼりにしやがって。
そのまま俺がノコノコ帰ると思ったら大間違いだ」
ヒメは、私の頭の上にぽんっと手を置いた。
「……お前は知らないと思うけどな。
俺、こんなに女の事を追いかけたのは、人生で2度目だから。
……1度目は、10年前。
誰かさんが優勝した都大会。
……まさかその10年後に、また同じ女を追うとはな」