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片想いの行方

第46章 朝の7時と、夜の9時

「…………………っ」







大粒の涙が溢れる私を





ヒメが両手でぎゅっと抱きしめた。










「…………泣き虫」








頭の上で、ヒメが呟く。








「……っく………ふ………っ」






震える手を、その暖かい背中に回したから




持っていた荷物が、全て地面の上に落ちた。








「やっと泣いたな。








………我慢しなくていいんだよ。







俺は、お前の傍にいる」










ヒメの言葉が、優しい音色のように響いて








私は彼の胸の中で、泣き続けた。

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