テキストサイズ

片想いの行方

第47章 探り合い



「……つまり、ここに来るまでに聞いた、お前の話をまとめると」



ダウンベストのポケットに手を突っ込んで、ひと呼吸置いてからヒメは続ける。




「会社に出勤する平日の朝と夜。


このマンションの最上階に住む、ある住人の元へ通っている。


そいつは男だけど、美和の彼氏ではない。


出勤前の朝7時に、作った弁当を届けて。


会社帰りにスーパーに寄り、夜の9時にメシを作る。


で、その時間は厳守であり、絶対に遅れてはならない。



………ってこと?」




「………………」




………本当は、話すつもりは無かった。



でも、ヒメの巧みな誘導尋問から逃れることができなくて



涙を拭いながら、少しだけ口に出してしまった。






「……その通りです……」





俯いたまま、小さく答えると




「そーなんだ。


よく分かった。











………っておい!」







ヒメは顔をこっちに向けて、ジロっと私を睨んだ。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ