片想いの行方
第47章 探り合い
「その通りですじゃねーよ。
なんだよその家政婦みたいな日常。
だいたい仕事してる人間に、5分の遅刻も無しって。
そいつ頭おかしいんじゃねーの」
「………うん………」
ヒメは相当不機嫌な様子で、私を横からじっと見ている。
……その目を見ることができない。
「まず、その住人って誰なんだよ」
「……………」
「彼女でもねーのに、なんでメシだけ作らされるわけ?」
「……………」
「そもそも週に5回も通う必要あんの?」
………質問に一切答えない私に、ヒメは目線を落としてため息をついた。
恐る恐る、横目でチラッとヒメを見る。
街頭の灯りが、少しだけ茶色い髪を照らしていて
あの頃の面影が残る、整った顔が目の前にある。
……力強く抱きしめられた感覚が、まだ体全体に感じられるけど
私はキュッと唇を噛んだ。
……この人を、巻き込みたくない………