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片想いの行方

第47章 探り合い




心臓が締め付けられる。



吸い込まれそうな深い目は、あの頃から全く変わっていない。





「お前は今……心から笑えてるか?」




「……………っ」




ヒメの優しい声に



隠すことが出来なくて、私は小さく首を振った。






真っ直ぐ私を見つめて、ヒメは握りしめる手にさらに力を入れる。






「……それなら、もう一度あの頃のように



毎日を楽しく過ごせるようになったら



ちゃんと俺に、心からの笑顔を見せるって



約束できる?」








……… 抑えていた涙が、また溢れて頬を流れた。





もうひとつの、夢で見るあの世界が現実になったら


もう1度、時間を巻き戻せたら……


そんなこと、毎日考えてる。




あの時の自分に戻って


選んだ道とは違う、別の入口へ繋がる扉を叩いていたなら






……一度は想い合えた優しいこの人と




別の未来があったのかな………

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