テキストサイズ

片想いの行方

第48章 2人の夜


目の前の全てが、涙で滲んでいく。





………ヒメ…………






“ 我慢しなくていいんだよ ”



“ 俺がお前の傍にいる ”



“ 美和を助けたいんだ ”







彼の優しい歌声から、心の声が聞こえてくる。







過去の気持ちだったのに




心の奥にしまい込んで、忘れようとしたはずなのに




………あの頃よりも、もっと強い想いが溢れてくる。





「………だめだよ……ヒメ………」




演奏が終わって拍手が鳴り響く中、私は小さく呟いた。







………優しくしないで………




今の私は、誰の事も好きになってはいけないから………

ストーリーメニュー

TOPTOPへ