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片想いの行方

第48章 2人の夜


「………覚えてないよ………」



私は目をぎゅっと瞑る。


ダメ。


この目を見続けたら、自分の置かれた状況を忘れてしまう。



一条さんへの “ 償い ” が終わらない限り


誰かと恋愛をすることは許されない。





……現実なんだ。




逃げたらダメだ。









「………お願い、もう離して……」




震える声で小さく呟くと




ヒメは私の顔をぐっと持ち上げた。







「それなら、思い出させてやるよ」




「……………っ」








ヒメの瞳が見えなくなったと思った瞬間







唇がそっと重なった。

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