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片想いの行方

第50章 真実






「……許せない……

嘘つきな上に、立場を利用して弱みに付け込むなんて………」




美和の現状を一通り説明すると



奈々さんの目から涙がこぼれた。





「なんて酷い事を……


最っ低!


美和ちゃん、2年もの間ずっと1人で苦しんでたなんて。


会社の行事や飲み会がある日以外、いつもまっすぐ帰ってたのはそういうことだったのね。


……私、なんで今まで気付いてあげられなかったんだろう……」




ポケットからハンカチを取り出して、そっと奈々さんに渡す。




「一条に口止めされてたんです。


……俺にも、この前ようやく話したくらいだから。


きっと、誰にも迷惑かけたくないって想いが強くて、言えなかったんだと思います」





奈々さんは、さらに声を大きくして泣き続けて




少ししてから俺を真っ直ぐに見て、きっぱりと言った。





「……ヒメくん。

私どうすればいい?

美和ちゃんを救えるなら、なんでもするわ!」




その力強い目を見て、俺はふっと笑った。

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