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片想いの行方

第50章 真実



「ありがとう。

一条の情報と、奈々さんの美和への気持ちが聞けただけで、充分です。

あとは俺に任せてください」



「でも………!」



「大丈夫。

奈々さんは社内の人間だから、下手に動かない方がいいよ」




俺の言葉に、涙を拭きながら奈々さんは首を傾げる。




「それは、君だってそうでしょ?

休職してるったって、いまだに人事にも強い男だよ。

ヒメくんは転職して来たばかりだし……」




「……俺はもうひとつあるから」






実は、歌の方もかなりの数のオファーが来ていて、結構手応えを感じている。




CDでも出して印税生活でもするか。





俺が1人で笑っているから、奈々さんは益々ハテナマークを頭の上に浮かべていた。







……まぁ、それは冗談として。






「いいんだ。



別に俺は辞めさせられたって、何の打撃も損失もないから。





美和を守る為なら





あいつがまた心から笑うようになるなら





俺はどうなっても構わない」

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