片想いの行方
第50章 真実
「………………」
俺の言葉を聞いて、奈々さんもふっと笑った。
「……もう、一瞬ときめいちゃったじゃない。
美和ちゃん、こんな同級生がいて幸せね」
「俺はその同級生レベルから早く昇格したいんですけどね。
そのバカ男がまとわりついてるせいで、なかなかあいつも強情で」
奈々さんは微笑みながら、残ったコーヒーを喉に流し込んだ。
そして、またすぐに表情を元に戻す。
「……でも、本当にどうする気?
美和ちゃん、入社した時からこの仕事が楽しいって言ってたから。
辞めるのはあまりにも不憫だし、私も絶対に嫌だし。
けど、真正面から真実を告げても、力で抑え込まれるかも……」
分かってる。
さすがに今の俺は、その男と同等の立場では無い。
だけど
「………相手がデカイ人間なら」
俺は紙コップを潰して続けた。
「使えるものは何でも使う。
こっちは総力戦だ」