片想いの行方
第51章 制裁
12月中旬。
クリスマスまであと1週間。
時計の針が夜8時半になったのを確認し、俺はひとつ下のフロアへ足を運んだ。
「ヒメくん!」
「奈々さん、うまくいきました?」
奈々さんは、既にフロアの入口に立って俺を待っていた。
「うん、コートのポケットに入れたわ。
“ 見つけても放置よ。by奈々 ” ってフセン付」
「さすが」
「あとこれ、総務の同期からもらったコピー。
その子もあの男に嫌な思いをさせられてたから、何も言わなくても協力してくれたわ」
「……これって……」
渡された1枚の紙を見て
俺と奈々さんは同時に言った。
「「やっぱりこいつバカなんだ」」
クスクスと笑う奈々さんを見て、俺もふっと笑う。
………準備は整った。
「あとはさっき伝えた通り、9時になったら例の奴が奈々さん宛てに来るので。
すみませんが……」
「うん、了解!
美和ちゃんとヒメくんが帰ってくるのを、その子と一緒に待ってるわ」
奈々さんがぐっと胸に手を当てたのを見て
俺はエレベーターの方向へ足を向けた。
「奈々さん、色々ありがとう。
マジで助かった」