片想いの行方
第54章 再会
……私が想像していたよりも、ずっと低い落ち着いた声で
目の前に立った蓮くんが、話を続ける。
「そっか、美和の働いてる会社から、この駅まで歩いてこれる距離だもんな」
蓮くんの鋭い目が、私を見つめる。
「それでも、奇跡に近いくらいの偶然だけど。
1度本社に寄ってから家に帰るかどうか、飛行機の中で迷ってたから。
………直帰しなくて、正解だった」
「………蓮くん
今、海外から帰ってきたばかりなの?」
蓮くんの瞳に吸い込まれそうになりながら
未だパニックになっている頭を落ち着かせようと、私は声を絞り出す。
「そうだよ。
本当は年末に戻ってくるはずだったんだけど。
……ヒメから決戦は月曜日って聞いてたからな」
「……………!!」
「……結局、仕事が片付かなくて
日本に着いたのが今日になってしまったけど」